パパになるまで⑥【猫セラピー】
嫁さんが切迫早産の治療と保護観察で実際に入院したのは、12月25日から翌年1月9日までの2週間と少し。
でもそれは、僕たちにとって数字で見る以上に長い長い日々でした。
自由に動ける僕に対して、ほとんどをベッドの上でしか過ごせない嫁さ
んは、更に辛く長い日々だったと思う。
ならば面会でもして元気づけてあげたいけど、コロナの影響でそれもダメ。
せめてもの救いだったのは、2人1室の相部屋だったけど嫁さんしか入っていなか
ったおかげで電話が出来た事。
今のご時世、ビデオ電話が手軽にできる事のありがたみを思い知りました。
我が家には最愛の愛娘である猫のあおちゃんが居ます。
ビデオ電話では僕の顔はほどほどに、常にあおちゃんの映像をうつしながら電話をしていました。
あおちゃんの毛繕い、ご飯、お水、寝顔を見ては「可愛い~。早く会いたい~。」と嫁さんは嘆いていました。
けど、あおちゃんは確実に嫁さんの事を癒してくれていました。
この頃の写真フォルダを見返すと、あおちゃんの写真がかなり密集していました。電話が出来ない時は、折を見て写真を嫁さんに送っていました。
病院での生活は辛く長いものでしたが、周りの環境はかなり良かったようでした。
木張りのお洒落な院内と、ホテルのように綺麗なシャワールーム。入院患者一人につき一台iPadが備え付けられていたり。
そして、何より驚いたのは食事。
嫁さんから送られてきた、とある日の夕食の写真。
麻婆豆腐定食らしかったのですが、高級フレンチのようなお皿に盛りつけられた料理たち。
毎食こんな感じの料理をコック帽を被ったスタッフが配膳してくれてたらしいです。
こんだけボリュームがあっても、妊婦さんの健康を考慮された栄養バランスとのこと。
そんなこんなで年末年始を過ごし、仕事が始まって数日経った、よく晴れた1月9日。
ついに嫁さんは退院の日を迎えました。
嫁さんが病院から出てくるのを見た時は、素直に、本当にホッとして、嬉しかったのをすごく覚えています。
家にまっすぐ帰って、あおちゃんとも感動の再会。
嫁さんはいつものようにあおちゃんを抱きあげて頬ずりをすると、あおちゃんはいつものようにウンザリしたような顔をするのでした。
その光景を見ながら、改めて今の時間の大切さが心に沁みました。
めでたし めでたし。